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2011年06月30日

【シティライフインタビュー】7月号 

指揮者・クラリネット奏者 
朝比奈 千足さん





いまこそ音楽の力が
求められている



「神戸フィルハーモニック」は、
神戸市民のための市民による本格的な
オーケストラとして3 1 年前に誕生した。
今月2日の第6 2 回定期演奏会では冒頭、
チャイコフスキーの「祈り」を演奏する。
東日本の被災地の心を誰よりも知る
神戸で被災したオーケストラの思い― 。
タクトを振るのはもちろん、神戸フィルを
育ててきた指揮者の朝比奈千足さんだ。




誰もがクラシックを楽しめるように
市民による市民のオーケストラを


―まず神戸フィル
創設の経緯から

 私が音楽を学んだドイツでは、どんなに小さなま
ちにも必ずオーケストラがあり、コンサートを開け
ば、どこも満席になるんです。神戸育ちの神戸人と
しては、いつかそういう本格的で、親しみやすいオー
ケストラを地元に創りたいと願うようになりました。ちょう
ど文化都市・神戸に注目が集まり出した頃で、市と折衝を重
ね79年6月、神戸フィルハーモニックとして設立。翌年1月、
華々しいデビューを飾りました。アマチュア楽団ですがプロ奏
者も多く参加し、音大卒業生やOL、中には
元プロの女性が赤ちゃん連れで入団するなど温かい雰囲気が
特徴で、好評をいただきました。年2回の定期演奏会に加え、他市
の文化ホールや学校などからも公演依頼が来て、プ
ロ並の忙しさ。でも、景気が悪くなると真っ先に予
算が削られるのが文化団体の宿命で、そんな矢先に
神戸の大震災があり…振り返れば31年間、イバラの
道でしたが、皆さんの応援と団員の情熱で、ここまで
来ることができました。


「響きが祈りに…」東日本に心寄せ
7月2日第62回定期演奏会を開催

―62回目の定期
演奏会のテーマは?

 
 東日本に巨大地震が起こり、われわれ震災を
経験したオーケストラとして何ができるのか、団
員と一生懸命考えました。中には「音楽をや
っている場合ではない」と悩む団員もいまし
たが結局、私たちがいつもどおり演奏するこ
とで、被災地に心を寄せようという結論に。
プログラムの冒頭に急きょ、チャイコフスキーの「祈り」を加え、
前半はフランス音楽を、後半はチャイコフスキー
の交響曲第5番を演奏(プログラム参照)。一人で
も多くの皆さんと被災地に祈りを捧げたいと思っ
ています。さて、クラシックコンサートというと堅
苦しく、つまらないと思っていませんか?  神戸フ
ィルの演奏は、どなたにも気軽に楽しんでいただく
のがモットーで、地元の皆さんが、いま聴きたい曲
を分かりやすく、そして癒しと元気を込めて演奏
しています。私が漫談調に曲の解説をしたり、団
員のエピソードを紹介したりしますから、初めて
の方も「面白かった」という感想が多いんです。料
金も低く設定していますので、ぜひどうぞ!




父・朝比奈隆の「中途半端はダメだ」
ドイツ留学で追求した音楽の真髄


―偉大なお父さんと
同じ道を歩んで来られて…

 私は、父の華やかさとともに苦労も間近に見てい
ましたから、音楽のプロになるつもりはなかったん
です。神戸高校から何気なく慶大に入学。日本一
の伝統を誇る「ワグネル・ソサィエティーオーケス
トラ」に誘われ、私の大学生活はたちまちオーケス
トラ一色に。舞台に上がれることは稀で、夜中まで
楽器を運んだり、会場の準備をしたり、仲間と裏
方生活に没頭。商社に就職が決まり、会社に挨拶
に行った帰り道に「私は音楽の世界から絶対に離
れられない」と気づいた。卒業前にぐずぐず悩んで
いると、おやじに問い質され、初めて「音楽を続けた
い」と打ち明けたんです。すると中途半端が嫌いな
おやじは「だったら音楽で飯が食えるようにドイツ
で勉強して来い!」。5年後にクラリネット独奏者
になって帰国しましたが、三つ子の魂百までと言う
のか、オーケストラという空気の中で育った私は、
何十人もの団員を掌握し、カリスマ性で暗示にか
けて一つの音楽をつくっていく指揮者の醍醐味にハ
マってしまった。再びドイツに渡り、今度は指揮者
修業です。遠回りをしましたが、私は私の方法で、
まちの隅々まで音楽の力を届ける仕事を続けてい
きたいと思っています。

〈取材を終えて〉 ご存じ故朝比奈隆氏は93歳まで大阪フ
ィルでタクトを振った巨匠で文化勲章受章者。練習室では
千足氏がタクトを持つと周囲の空気がキリッと一変…、在り
し日の隆氏そっくり。迫力いっぱいの演奏、素敵でした!


文/渡部せつ子 写真/岸隆子

【Profile】
あさひな・ちたる 1943年指揮者の故朝比奈隆氏の長男として
生まれる。66年慶應義塾大学卒業と同時に当時の西ドイツに留
学。71年ベルリン音楽大学(現ベルリン芸術大学)卒業。クラリネ
ット独奏者として演奏活動を展開。73年から指揮の分野にも活動
範囲を広げ77年再び渡独。78年、当時の東ドイツ国立ズール交
響楽団を指揮し、指揮者デビューを果たす。91年には豪州クイーンズランドフィ
ルの専任指揮者に就任。ラジオのDJやコンサートの企画・演出・司会など、指揮
者の枠を超えた音楽人としてマルチに活躍中。現在、神戸フィルハーモニック
音楽監督兼常任指揮者などを務める。



「響きが祈りに…
 ~東日本大震災に寄せて~」


日 時:2011年7月2日(土)午後4時開演
会 場:神戸文化ホール 大ホール
曲 目:ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」
 ベルリオーズ「ローマの謝肉祭」
 チャイコフスキー「交響曲第5番」
指 揮:朝比奈千足
入場料:一般2,500円(当日3,000円)
高校生以下1,000円(当日1,000円)
※前売り券の購入は下記ホームページ
 または、チケットぴあ
問合せ:事務局 TEL.078-362-0024(神戸文化ホール内)
http://www.kobephilharmonic.jp/



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Posted by 北摂・阪神の情報紙シティライフ at 19:51 │シティライフインタビュー